初心者編と中級者編でハンドレンジという考え方、ハンドリーディング、自分のハンドvs相手のハンドレンジといった、ポーカーにおける花形「ハンドリーディング」について説明してきました。
今回の上級編では、自分のハンドレンジというものを考えてみましょう。ドンクベットで説明した内容と非常に似ていますが、もう少し幅広に解説します。
自分のハンドレンジとは、相手から見えるあなたのハンドレンジです。あなたのハンドはもちろん1つで、あなたももちろん知っているはずですが、相手からはレンジで見えているはずです。この相手から見えているレンジを利用するために自分のハンドレンジというものを考えることは重要です。
それでは、100NL(0.5ドル/1ドル)の6人テーブルを想像してください。
UTGのレギュラープレイヤー(常連プレイヤー)が3ドルにレイズ、COのあなたが9ドルに3betし、UTGがコールしました。
UTGはあなたがタイトなプレイヤーだと知っています。
あなたのハンドはA♥K♦です。
フロップ(19.5ドル):A♣7♣6♥
UTGチェック→CO10.5ドルベット→UTG21ドルにチェックレイズ→COコール
このAハイフロップはあなたのハンドと非常に良くマッチしています。
ターン(61.5ドル):A♣7♣6♥9♣
UTGは60ドルをベットしてきました。彼の残りのスタックは95ドルです。
あなたのハンドはこのポットベットにコールできるほど強いのでしょうか?少し時間を取り、相手からみたあなたのレンジを考えてみましょう。
プリフロップで3betしていることから広く見積もってもJJ+、AK+、AQsくらいでしょう。
フロップでのベットと、チェックレイズにコールしている事からAAとAKしかあなたのハンドレンジはありません。ただし、AAならフラッシュを引かれない為にオールインしている事が濃厚で、AAは幾分か可能性が下がります。
相手があなたのハンドレンジを絞れているという事実は非常に危険です。
フロップの時点では、AAを除くとA♥K♥があなたのレンジの中で最も強いです。
しかし、ターンの9♣はA♥K♥をA♠K♠と同じくらい弱くします。ここでは、A♠K♣、A♥K♣、A♦K♣の3通りの組み合わせがあなたが持ち得る最も強いカードでしょう。ほかのAKはこれよりも弱くなります。
また、あなたはK♣Q♣をプリフロップで持ち得るでしょうか?このハンドを持っていればナッツですが、プリフロップでのプレイにより持っている可能性はありません。
あなたは自分のハンドレンジを考察した結果、自分のハンドレンジが殆どなく、相手から何を持っているかばれている状況という事に気付きました。さて、あなたはこのUTGのポットベットにコールできるでしょうか?
答えはNOです。
なぜなら、相手はこれらの考察を理解した上でベットしているはずだからです。
更に、あなたのA♥K♦はこれ以上強くなる事はほとんどなく、もし強くなったとしても、ツーペアかトリップスです。リバーで何がでてもセット、フラッシュ、ストレートに逆転できないのです。つまり、こういったボードA♣7♣6♥9♣とこういった相手のアクションに基づけば、あなたのA♥K♦はドローイングデッドである事が殆どです。
また、このターンのポットベットにコールしてリバーであなたはフォールドできるでしょうか?もし、相手がリバーでチェックする可能性もあると感じればコールする事もあり得るかもしれませんが、相手はチェックレイズ→ポットベットしています。かなり高い確率でリバーはオールインしてくるでしょう。トップペアトップキッカーでリバーのオールインにコールするのは得策ではありません。
100NLという事を考えれば、あなたがこの60ドルのベットにコールするという事はポットコミットするという事です。つまり、この60ベットが超えてはならない一線なのです。
結局COのあなたはコールをしてしまいます。
リバー(181.5ドル):A♣7♣6♥9♣J♦
相手は残った95ドルをオールインしてきました。J♦は明らかなブランクです。あなたはコールし、相手は7♠7♥でポットを獲得し、あなたは400BB近く失ってしまいました。
もちろん、あなたのハンドにK♣があればターンのコールはほんの少し正当化されたでしょう。しかし、あなたは自分がどれだけ危険な状況にいるか正しく認識できておらず、トップペアトップキッカーという響きにつられてスタックをすべて失ってしまったのです。
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