このページをみている皆さんは既にテキサスホールデムのルールを理解し、基本的な事を学んだ方かと思います。
今回ポーカー戦略の初心者編の最初として、ポジションの重要性について学んでいきましょう。
テキサスホールデムは強いハンドを作って勝つ事と同じ位かそれ以上に、相手を降ろして勝つ事も重要です。
まず最初に、ポジションはポーカーをプレイする上で最も重要な要素です。
他のページでも触れていますが、BTNやCOなどのレイトポジションはUTGなどのアーリーポジションよりも有利です。それは何故でしょうか?主に以下の要因があります。
- 相手のアクションを見てからプレイ出来る
- フリーカード(チェックバックする事でタダでターン以降のカードを見る事)をより多く見る事ができる
- ポットサイズのコントロールが容易
- ブラフする機会が多い
テキサスホールデムのルール解説でも少し触れましたが、アクションを先に行うポジションはハンドが配られる前から既に不利です。
後にアクションするプレイヤーは、相手のアクションを見てからプレイできるため、その分情報量が多い状態で判断をする事ができます。
それだけではなく、ブラフする機会も相対的に多くなりますし、ポットサイズのコントロールまでできます。ポジションがあるという事がどれだけクリティカルな事か少し理解いただけたでしょうか?
余談ですが、ノルウェーのプロポーカープレイヤーのAnnette Obrestadは2007年の180人規模のオンライントーナメントで、自分のハンドをほとんど見ずに優勝しました。(オールインされた時だけ自分のハンドを確認していたようです)
彼女のエピソードは、ポジションと対戦相手の観察がどれだけ重要かという事を証明しています。彼女はこの2か月後WSOP Europeで優勝しています。
とはいえ、最悪なポジションであるUTGでポケットロケット(AA)をフォールドするかと言われればそれは違います。そこで、ポジションによって参加するハンドのレンジを変える事が必要になります。
例えば、あなたが9人テーブルでプレイしていて、ハンドがA♠8♥だとしましょう。
UTGでは降りるけど、レイトポジション(BTN等)で自分より前にレイザーがいなければオープン(最初にレイズする事)していく等、参加するハンドレンジをポジションによって変えるのです。
このような「自分より前にレイザーがいない」=「フォールドするプレイヤーが多い」という情報はレイトポジションでしか知りえない情報なのです。
参加する基準をポジションによって変えるという戦術は、あなたが何人テーブルに座っているかという事も関係してきます。
極端な例を出すと、9人テーブルと2人テーブルで、誰かがプレミアムハンドを持つ確率を考えてみてください。もちろん9人テーブルの方が可能性は高いですよね。つまり、9人テーブルに座っているときは2人テーブルに座っている時よりタイトにプレイするべきなのです。
UTGはプリフロップで一番最初にアクションをしなければなりません。言い換えると、自分より強いハンドを持っている可能性があるプレイヤーが8人もいるのです。UTGでアクションするという事はそれだけ大きなリスクを冒している事になります。
金融の世界ではリスクヘッジという言葉・スキームを頻繁に使用します。ポジションによって参加するハンドのレンジを変える事はこのリスクをヘッジしているとも捉える事ができます。
では以下でポジションによって収益が変わった実例を見ていきましょう。実際のハンド履歴から抜粋しています。
レイトポジションが有利な例
6人テーブルであなたはBTNです。あなたは7♣8♣を配られています。
アーリーポジションから3BBのレイズがあり、あなたまでフォールド、あなたはスーテッドコネクターでコールしました。SBとBBはフォールドしたので2人でフロップを見に行きます。
フロップ:9♣2♣A♥
相手はチェックしました。さて、この時あなたはフラッシュドローになっており、バックドアストレートドロー(あと2枚でストレート)も持っています。
あなたの選択肢は2つです。
1つ目:相手のチェックをハンドの弱さと捉え、積極的にベットしにいっても良いですね。コールされたとしてもフラッシュになれば勝っているでしょう。
2つ目:チェックしてタダでターンを見に行くのも良いです。つまりタダでフラッシュが完成するか確認できます。
もしあなたが最初にアクションしないといけない状況であれば、チェックした後相手がベットしない保証はありません。ベットしたとしてもポジションを活かしてリレイズが来たら困ってしまいます。現時点であなたにはただのエイトハイしかありません。
実践では2つ目の選択肢を選びチェックしました。理由は2つあります。
1. アーリーポジションからのレイズのレンジにはAxが入っている可能性が高い事、
2. この相手はほぼ100%コンティニュエーションベットをしていたのに、今回急にチェックに転じたという事です。こういった場合のチェックはモンスターハンドのスロープレイが多いと経験的に知っていました。
結局、ターンで9♣2♣A♥K♣と落ちた後、相手がポットサイズのベットをしてきました。あなたは殆どナッツの状況でリレイズオールインし、相手はコール、相手のハンドはA♣A♦で、モンスターハンドのスロープレイでした。
ポジションがあったお陰で安全にプレイする事ができました。
まとめ
繰り返しになりますが、ポジションは非常に重要な事です。私自身がそうであったように、最初の内はポジションによって有利不利という概念がわからないかもしれません。しかしポーカーをプレイすればするほど、「今ポジションがあったらもっと楽だったのに!」といった事が起こるはずです。
もちろんEPならではの利点もあります。EPは不利なポジションと認識されているため、レイズやリレイズは基本的に多くのプレイヤーが警戒します。そのため、相手のコンティニュエーションベットにリレイズする事でポットを取れたりするかもしれません。
ただし、それでもポジションがある状態でポーカーをプレイする事の方がはるかに大きなメリットがあります。
この記事を読んだあなたは自分より格上の経験豊かなポーカープレイヤーと同卓する事になった場合、どこに座るべきがわかりますか?
そんな強い人とは同卓しないのが一番ですが、座るとすれはそのプレイヤーが自分の右になるように座りましょう。こうする事で殆どの場合で彼の後にアクションできます。
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