ブロッカーとは、自分が持っているハンドを考慮して相手のハンドレンジを更に絞っていくという概念です。こちらも今まで紹介してきた様々な技術と同様、最近になって取り上げられ始めた概念になります。
例えばあなたが6♥6♣を持っている時、あなたは6をブロックしていると言い、相手のハンドレンジに6が入る可能性は低くなります。
例えば、AAやAKはそれぞれ何通りの組合せが存在するでしょうか?
AAはA♥A♣、A♥A♦、A♥A♠、A♣A♦、A♣A♠、A♦A♠の6通り存在します。
AKは少し多くなりますが、AKsがA♥K♥、A♦K♦、A♠K♠、A♣K♣の4通り存在します。
また、AKoは、
A♥K♠、A♥K♣、A♥K♦、
A♠K♥、A♠K♣、A♠K♦、
A♣K♥、A♣K♠、A♣K♦、
A♦K♥、A♦K♣、A♦K♠の12通り存在します。
AKは合計で16通りの組み合わせが存在します。
AKでもAQでも27でも同じく16通りの組み合わせがあり、ポケットであれば6通りという事がわかります。
- ポケットペア:6通り
- AKなどのポケットペア以外:16通り
- AKsなど(スーテッド):4通り
- AKoなど(オフスーツ):12通り
これは覚えておきましょう。
ここで、相手がAAとKKを持ち得る組み合わせを考えてみましょう。もちろん、6通り+6通り=12通りの組み合わせがあります。
しかし、もしあなたがA♥K♥を持っている時、A♥とK♥をあなたがブロックしています。
この時、相手のAAとKKの組み合わせはそれぞれ3通りずつ減るので、3通り+3通り=6通りと半減する事がわかります。
これがAKで4betする事ができる1つの理由です。
他にも、あなたがA♥9♣を持っていて、ボードに3枚ハートが落ちていると想像してください。
あなたはフラッシュではありませんが、A♥をブロックしているので、あなた以外がナッツフラッシュを引く可能性はないのです。この情報は、あなたのみが知る事ができる情報であり、テキサスホールデムにおいては非常に有益な情報になります。
ブロッカーの基礎的な所はこれだけです。ではこのブロッカーという概念が、普段のポーカーでどのように活用できるかという事をみていきましょう。
ブロッカーの実用例
ブロッカーとブラフ
あなたはBBでA♦10♠が配られました。ややタイトなプレイヤーのHJがオープンしており、あなたはジャストコールしました。
フロップ:K♦J♦3♥
残念ながら、このボードは明らかにあなたよりも彼にマッチしやすいボードです。
ただ、あなたにはガットショットストレートドローと、ナッツフラッシュを作る為のキーカードが1枚あります。
もちろんここはベットせず、安くカードを引きに行きたい所です。
あなたチェック→相手ハーフポットベット→あなたコール
ターン:K♦J♦3♥4♦
まずまずです。ハンドは未だAハイのままですが、ナッツフラッシュドローになっています。これは色々な選択肢を与えてくれるカードです。
- ベッティングリードを取りここで大きくベットし、リバーでももう一度大きくベットする
- チェックレイズする事で、相手に最大限のプレッシャーをかける
どちらも非常に有益なプレイです。リバーで4枚目のダイヤが出た場合、相手はフォールドせざるを得ないので今の時点である程度のチップを吐き出してもらいたいのです。
これこそが、相手がナッツを持っていない事を確信しているので出来るブラフです。あなたはブロックという概念を利用して、リバーで大きくブラフする事でポットを取れる可能性があります。
もちろん、このブロッカーの概念に目がくらんでやりすぎてはいけません。こういった時気に掛けるべきは、相手の画面にフォールドボタンがしっかりと付いているかどうか確認してください。相手がティルト状態であったり、初心者やコーリングステーションであればこのブラフは全く意味がありません。
ブロッカーとバリューベット
ブロッカーの解説をするときは、ブラフと絡めて説明されがちですが(実際ブラフと組合せるのが非常に有益な戦略です)、あなたがナッツを持っている時もブロッカーを気にする必要がある場合があります。
例えばあなたのハンドが5♥7♠で、ボードに2♥3♦4♠K♦6♣と落ちているとしましょう。
この時リバーであなたはバリューベットをしますが、このサイジングを考えてみましょう。
あなたは紛れもないナッツを持っていますが、あなたは5をブロックしています。つまり、セカンドナッツである5xのハンドをブロックしてしまっており、相手がセカンドナッツを持っている可能性を減らしています。
この時あなたのバリューターゲットは5を持っているプレイヤーではなく、トップペアやツーペアなどのハンドを持っているプレイヤーです。あなたはこれを考えバリューベットをサイジングする必要があります。
このアプローチは、相手がセカンドナッツの5を持っていた場合にも有効です。相手はあなたのサイジングを弱みと勘違いしレイズしてくる可能性が高く、あなたが想定していたよりも多くのバリューを稼げるはずです。
ブロッカーとハンドレンジ
ここまでの解説通り、ブロッカーは他のポーカー戦略と組合せる事で更なる力を発揮します。ブロッカー単体で考えていてはそこまで大きな効果はありません。
ここでは、ブロッカーとハンドレンジの組み合わせをみていきましょう。
タイトなプレイヤーが9人テーブルでUTGからオープンしています。あなたはBBで4♥5♥でルースにコールしたとします。
フロップ:2♥4♠5♣
あなたはトップツーペアです。あなたは笑顔が漏れてしまわないように気を付けながら、チェックレイズし、相手がAAなどでオールインするのを祈る事にしました。
さて、ここで相手のハンドレンジを考えてみましょう。
相手は有能なプレイヤーで、UTGからのオープンしている事から3を持っていてストレートドローという事はないでしょう。またA3でナッツを持っていたという事もないはずです。
また、あなたが45をブロックしているため、これらのセットも可能性は低くなっています。2のセットが残りますが、すべてのプレイヤーがUTGから22でオープンするわけではありません。これもかなり可能性は低いでしょう。
相手は、フロップの時点で打ち負かしているドローハンドから自分のハンドを守るために、ファストプレイする事が予測できます。
相手がAAを持っていたとしても、ターンで3や6等を見たくないので、フロップでポットを取りたいのです。
あなたがここまで考えれるプレイヤーであれば、スロープレイなどしないでしょう。あなたは現状ベストハンドを持っている可能性が非常に高く、相手はフロップで出来る限りのチップを入れたいのです。
もしターンで3や6や5等が落ちた場合、相手はチープショウダウンを望むはずなので、フロップで出来る限りのチップを相手に吐き出させましょう。
プリフロップにおけるブロッカー
プリフロップでもブロッカーの概念は役に立ちます。相手をよく観察し、ベッティングの傾向やハンドレンジ等の情報を得ると、ブロッカーはまた力を発揮します。
例えば、相手がプリフロップで必要以上に3betしているプレイヤーであれば、彼の3betレンジをブロックしているハンドで4betする事により、効率良くバリューを稼ぐことができます。
つまり、A9sやA8sや、K9sやKTs等のハンドで相手にプレッシャーをかけていくのです。
あなたがしっかりと相手の傾向を観察し、正しくブロックしているハンドで4betしていれば、多くのフォールドを見る事ができます。
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